個人事業主と税金でもふれましたが、個人事業主にとって「請負契約」なのか「業務委託契約(委任契約・準委任契約)」なのかは払う税金が増えるかどうかに関わります。開業後に税務署からヒアリングがある場合もありますので自分はどちらなのか把握しておきましょう。
請負契約は、当事者の一方がある仕事を完成させることを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことによりその効力を生じる契約です。(民法第632条)
簡単な例で説明すると、
・SIerがクライアントから仕事を受注し、システムを開発して納品するときの契約。
・Webデザイナーがクライアントから仕事を受注し、Webサイトを作成して納品するときの契約。
契約し仕事を請け負い、成果物を納品する、という仕事の契約の仕方が請負契約となります。
業務委託という契約は民法上存在しません。委任契約、準委任契約のことを一般的に「業務委託契約」という場合が多いです。。
委任契約は、法律行為を委託する契約です。
例:各種の契約や解除を代理で行う業務を行う場合。
準委任契約は、法律行為以外の事実行為(事務処理)の委託をする契約です。
例:契約する企業の社員に代わり業務を行う場合。
SIerに多い例ですが、SESでSIerと契約しその企業でシステムを構築する場合の契約は準委任契約となります。
業務委託契約は企業と契約してその企業の仕事を社員に代って行う契約ため、成果物は伴わない契約となります。つまりSESとしてSIerでシステムを完成させSIerのクライアントに納品することが契約ではなく、完成させるためにシステム開発を行うこと自体が契約となります。
個人事業主と税金でもふれましたが、「請負契約」の場合は「個人事業税」が発生します。(「年間所得」が290万円以上ある場合払う必要がある。「年間収入」ではない。)
デザイン業は無条件で「請負契約」となり逃げ道がありませんが、例えばWebデザイナーであればデザインもしますがコーディングもします。業務委託契約(委任契約・準委任契約)でのコーディング業であれば課税非対象となり「個人事業税」は発生しません。
税務署が「個人事業税」が発生するかどうかどう判断しているのかというと、開業届の職業欄や事業の概要、確定申告の職業欄にて判断しています。(開業届と確定申告の職業欄は同じものを記入します。)
Webデザイナーが独立し開業届を出すときに、気持ちが舞い上がって後先考えずに「デザイナー」と書いてしまうと「個人事業税」発生確定です。まずは落ち着きましょう。
職業はこう書かないといけないというルールはありませんが、税務署が見てわからない場合、ヒアリングのお手紙が届きます。(私は「プロジェクトマネージャー」って書いても分からないと思ったので親切心で「Webディレクター」と書いたらヒアリングされました。税務署はIT関連の職業はよくわからないみたいです。)
自分がどういう職業で、どういう契約で仕事をしていくのか、ということを最初から考えて開業届を出している方は少ないかもしれません。これから開業する方はどうすれば税金をちょっとでも少なくできるかまずは考えてみることをオススメします。